2012年11月11日日曜日

井口雄介さん「CUBeSCAPE」




六甲高山植物園と六甲オルゴールミュージアムを結ぶ全長約200mの木製の橋(通称 木道橋)に大小さまざまな木枠があります。
この作品が六甲ミーツ・アート 芸術散歩2012 公募大賞 奨励賞に選ばれた井口雄介さんの「CUBeSCAPE」です。ダイナミックなイメージが印象的なのですが、実は緻密に設計され、自生植物に配慮して展示された作品です。

木道橋エリアは植物が多く生息しているため、事前下見では高山植物園の園長立会のもと現地説明を受けて、この場所に設置することが決まりました。

当初の作品プランは、小さな木枠がどんどん大きくなっていくイメージで考えられていましたが、現状の植栽状況や点在する石などの立地条件を考慮して、現地調査や位置関係の採寸取りを繰り返し行った結果、自然と”共生”する作品プランとなりました。



作品を設置する際は、希少植物を傷めないよう慎重な作業がつづきました。
植物を作品に取り込み、迂回しながら木枠を面でなく点で建つようにバランスを取ったり、木枠同志がお互いに支え合うように設置したり、時には石の上で木枠が休憩している様に見えるものがいくつもあり、少し可笑しみを感じました。
定められた期日までに作品を設置し終えなければならないため、特に屋外での設置作業は、悪天候の中であっても手を休める事はできません。井口さんは、制作期間中に体調を崩してしまいましたが、そんな中でも無理を押して作業を続ける姿は、とても印象的でした。
その努力のかいあってか、みごと期日までに完成させることができました。




一見、ダイナミックでありながら、実は緻密に設計された作品でもある「CUBeSCAPE」。
アート作品を鑑賞する際、なぜこの場所に設置したのか?自然と”共生”する作品にしたのか?”共生”であると共に自由、自在にも見えるのか?そんな視点で見ると、作品の見方が変わり、より深みを感じられるのではないでしょうか?

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