第一土曜日の9月4日、六甲ケーブルは登山客が多く、海を見下ろす車輌には座れなかった。
やむなく運転士席近くに席をとる。
前回までと違い、頂上方向を眺めながら登ると、腰掛けているのに疲れを感じるのは不思議だ。
植物園では、ススキが穂を出し始めている。ほどなく珍しい蝶に出会った。アサギマ
ダラである。1987年発行「昆虫シリーズ切手」の絵柄にもなった美しい蝶は、ヒヨドリバナの蜜を吸っている。
ガラス室では、白いカードたちが気持ちよさそうに揺れていた。職員の方が窓を調節して換気に努めてくださっているからである。そのことに感謝。心配していた湿気も感じなかった。今日はこまごまとした展示物を配置するとしよう。壊れた「謄写版と鉄筆」、治療中の歯科医院で貰った「口腔レントゲン写真」、「ヘクソカズラを生けた溲瓶」など、自宅に置いたら家人が嫌がるものも、別荘なら誰にも気がねがいらない。息子の単語カードは捨てるに忍びなく、大事にしまってあった。秋の夜長に一枚一枚めくるのも、悪くないだろう。客人をもてなす準備も忘れてはなるまい。
種子をつけた兎はゼンマイを巻けばピョンピョン跳ねるから、子供が喜びそうだ。大
皿に種子を盛りつけ、タンポポコーヒーと柿の種も用意した。恵美須様と大黒様、招き猫が、きっとたくさんのお客様をお連れすることであろう。
太田三郎
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