2010年11月27日土曜日

さらば、六甲山ハウス

11月23日は「芸術散歩2010」の最終日である。見残した作品があるため、コンシェルジュの真由美さんに接客を任せて急遽でかけることにした。ガーデンテラスを経てカンツリーハウスに向かうと、なんと「造雪中」の表示が出ているではないか。広い斜面はもうすぐスキー場に姿を変えるのだ。3月25日の記憶が甦った。本展総合ディレクター、彫刻の森美術館の坂本さんの「まず、太田さんのような温厚な方から現場に引き会わせたい(私自身は温厚と思わないが…。)」との言葉で、他の作家より先に現地入りした。初めて訪ねた六甲山は、神戸市内から予想できないほど寒く、人工スキー場付近は時折吹雪いている。「ここは六甲山ではなく、八甲田山ではないか?」しばらく人工雪を眺めた後、開発好明さんの冷蔵庫作品で暖まってハウスに戻った。
















翌24日9時に片づけ作業を開始。吊した葉書にはあらかたカビが生えている。六甲山ハウスは、作品を展示するには厳しい環境だった。湿気と直射日光は作品にダメージを与える。額縁にもカビが生えるほどだったが、あえて展示を強行したのは空間に魅力があったからである。この場所を提供していただけたことにまず感謝。土日と祝日にコンシェルジュをしてくれた宮崎真由美さんに感謝。足を運んでくれたお客様、そして本展に携わった全ての関係者に心から感謝の気持を伝えたい。日が翳り始めた午後5時、私は「カラマツ温室」と書かれた鍵を返し、ガラス室を後にした。

太田三郎

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